本要約「つまらない普通の授業に子供を無理やりのせる方法」-中村健一ー
概要
子どもが楽しく集中できる授業を作るための工夫について書かれた本です。
授業をしていて、どこか子どもがつまらなさそうにしている場面がたまにあります。
雰囲気が悪く、声も小さく、注意も散漫になる。何より楽しくなさそう。
そんな授業から、子どもが集中して活き活きと活動できる楽しい授業に変えるための方法が本書には書かれてあります。
方法論や著者の考えだけではなく、
具体的なミニネタや活動例がたくさん挙げられています。
また全体を通して、「こういう風に授業を進めたら子どもは乗ってくるんだな。」
というように、著者の中村さんが大切にしている授業を雰囲気が伝わってくるような内容になっています。
内容~子どもを授業にのせる方法~
子どもを授業にのせる=子どもが授業に集中し、活き活きと活動する
と定義することにします。
その上で子どもを授業にのせるための大切なポイントは、
①とにかく活動を多くする
②テンポをよくする
③授業構成を小分けにする
といった3つです。順に紹介します。
①とにかく活動を多くする。
子どもをのせるためには、活動を多くすることです。
なぜなら、子どもはじっとしていることが苦手だからです。
教師の説明をじっと聞き続ける授業は、つまらないにきまっています。
子どもが活動する場面をたくさん設けることで、自然に子どもは授業にのってきます。
ここでいう活動とは、
声だし
立つ
座る
立ち歩く
書く
といったことです。
声出し
とにかく声に出させます。
一番取り入れやすいのは復唱です。
授業で出てきた用語を、子どもに復唱させます。
というような感じです。
教師が一方的に話すのではなく、子どもに声を出させながら話すことで、
集中を絶やさずに聞かせることができます。
立つ座る
じっと座ってばかりの授業はつまらないです。
何度も立つ場面を設けることでリフレッシュさせる効果があります。
工夫次第で、子どもが立つ場面はいくらでも設けることができます。
例えば、
・立って10回言ったら座る。
・教科書から「~」を見つけたら立つ。
・書けたら立つ。
・立って「~」について話し合ったら座る。
といったような感じです。
このように何度も立たせたり座らせたりすることで、
子どもは集中力を絶やさずに授業に参加することができます。
また、「ぼーっとしてたら置いて行かれる」
という程よい緊張感も持たせることができます。
立ち歩く
合法的に立ち歩いていい場面を設けることで、
子どもはリフレッシュすることができます。
また血流がよくなり、集中力が持続するという効果もあります。
本書ではプチ学び合いが紹介されています。
隣同士で話し合うだけではなく、
「~分間立ち歩いていいから、友達とノートを見せ合ってきてごらん。」
と立ち歩いて学び合う場面を設けます。
ただし、子どもの自由度も高くなるので、
ちゃんと話し合っているか監視することと、クラスがある程度安定していることが
この活動を取り入れられる条件になるかと思います。
書く
これも立派な活動の一つです。
有名なのは、○×発問です。
教師の発問に対して、〇か✖かで自分の考えをノートに書かせます。
子どもの授業への全員参加を保証することができます。
これらが一つ目の、とにかく活動を多くするという内容になります。
本書で一番大切な考え方であると思います。
②テンポをよくする
良い授業=テンポがいい授業であると思います。
テンポがいいとは、
・教師の話が短い
・子供の活動が多い
・指示・発問が明確
・子供の動きが早い
・活動数が多く、活動と活動の間が短い
といったことであると思います。
①の活動を多くするともつながりますが、
何より教師の話を短くして、小さな活動を多く入れこみ、
指示に素早く従わせる。
そして「何をするか」「何を考えるか」が明確な短い指示や発問をテンポよく与え、
どんどん子供に活動させていくことがテンポのいい授業を作り出す秘訣かなと思います。
また、子どもが素早く動くということも非常に大切です。
なので、「素早く動く」ということを子どもに仕込む必要があります。
子どもに仕込むためには、
指示を出す→だらだらしている子がいたらやり直しをさせる→褒める
といった、「フリ・オチ・フォロー」の流れで
素早く動けるクラスにしていくことが大切です。
4月当初から、指示には素早く従う
ことを徹底することが肝要です。
③授業を小分けにする。
同じ活動が長々と続いては飽きてしまいます。
45分の授業をいくつかに分けることで、子どもの飽きを解消させることができます。
具体的には、例えば算数では、
①復習
②百マス計算
③本時
➃練習問題
といったようにいくつかの内容に授業を分けます。そして年間を通して構成を統一するようにします。
そうすることで、
・45分間飽きずに集中力を持続させることができる。
・見通しをもって授業に参加できる。
というメリットが生まれます。
特に、初めの10分間を統一することが大切であると著者の中村さんは述べています。
以上これらが、
「つまらない普通の授業に無理矢理こどもを乗せる」
ための主な3つの内容になります。
子どもの実態に合わせることも大切ですが、
とにかく活動を多くする、子どもを動かしながら授業をする
ことを意識しつつ、
本書で紹介されている具体的なネタをどんどん実践し、
その都度目の前の子ども達にあった授業スタイルを構築していきたいと思います。