読書アウトプット記録

本から学んだ内容をアウトプットすることで自分自身の記憶に深く落とし込むことを目的としています。

「授業のユニバーサルデザイン入門」ー小貫悟・桂聖ー

◎授業のユニバーサルデザインとは

 発達障害の有無や学力の差に関わらず、全ての子供が授業に参加し活躍できることを目指した授業の在り方のことです。本書ではそのための技法について書かれてあります。

 

◎環境を整える。

 環境を整えるとは、簡単にいうと「整理整頓」であると述べられています。

整理整頓された環境では、集中力がアップするのは大人も同じです。特に、発達障害のある子供は、散らかった環境では落ち着かなかったり集中がそれやすかったりしてしまいます。そこで、教室内で物の置き場所を決め、「何がどこにあるのか」が一目で分かるようにします。また、ロッカーや掃除用具置き場などは、整理整頓された状態の写真を貼っておくと、理想的な状態が一目で分かるようになります。

 さらに、学習環境を整えるという意味では、余計な刺激を排除することも大切です。

発達障害のある子供は感覚が過敏なことが多く、目に入るものや周囲の音が気になりやすい特徴があります。そこで教室前方の掲示物は極力少なくして黒板に集中しやすいようにしたり、椅子の足にテニスボールを付けて、音を抑えたりする配慮が有効になります。

 

◎様々な感覚を通して理解させる。

 発達障害のある子供には、認知に偏りがあることがよく見られます。例えば視覚優位の子供は、話を耳で聞いているだけでは内容をイメージできないことがあります。反対に聴覚優位の子供は音声言語での情報があった方が理解がしやすくなります。そういった子供に対応するためにも、授業では視覚・聴覚両方から理解できるような指導が必要です。

 また、目と耳だけではなく、「手で実物を触らせる」「登場人物の行動を実際にやってみる」など、様々な感覚を通して理解できるようにさせるとより効果的です。

 

◎山場を決める

 山場とは、その授業で達成させたいねらいについて子供が「ああ、そういうことか」と感じることができる瞬間のことです。授業づくりはまずその山場を決めるところから始めるべきだと述べられています。

 それはなぜかというと、山場から決めると授業の内容が焦点化されるからです。発達障害の子供は、授業の中で入ってくる情報や考えることが多すぎると、情報過多になりついていけなくなってしまいます。UD化された授業では、ねらいを1つに絞り、シンプルな授業にする必要があります。

 そこで、子供の立場から授業の山場を決め、それを達成させるための展開、導入を考えていくことで授業のねらいが焦点化されたシンプルな授業をつくることができます。

 

◎その他

・行動の原因にアプローチする。

 子供の問題行動に対する対応としては、2つの種類があります。1つは事前対応で

もう1つは事後対応です。事前対応とは、行動の原因になっているものを排除したり、その問題行動が起きないように事前に配慮をしたりすることです。それに対して事後対応とは、注意をしたりクールダウンを取らせたりするなど、行動が起きた後に対応をすることです。両方大切ですが、本書では事前対応の大切さが述べられています。子供の行動を分析してみて、「いつもこのときに問題が起きているな」と思ったら、その原因自体をなくせるように努力をしてみるのです。

 

・「分からない」と言えない子への対応

 ユニバーサルデザインの考え方では、安心して「分からない」と言える環境づくりが大切です。ですが、中々先生に質問できなかったり、分からないことを言えなかったりする子供もいます。そんな子供に対するアイデアとして「ヘルプカード」が紹介されていました。「困っています」と書かれたカードを用意し、「分からなかったり困ったりしたらこのカードを机に置いておいてね」と言っておきます。そうすると、「先生分かりません」と先生に言うよりも、ずっと低いハードルで助けを求めることができるようになります。