「エッセンシャル思考」-グレッグ・マキューン-
今回はこの本です。
この本はこれまで読んだ全てのジャンルの中でベスト3に入るくらい自分の価値観を一変させてくれた良書でした。
この本がもたらしてくれたように自分をアップデートする感覚が読書の醍醐味の一つだと思います。
1年ほど前に始めて読んだ本なのですが、著者の考えを深く頭に叩き込む為、いまだに何度も読み返しています。
それでは以下内容を紹介します。
1.エッセンシャル思考とは
この本のタイトルであるエッセンシャル思考とは、
「より少なくしかしより良く」
という言葉に集約されます。
たくさんのどうでもいいことを削ぎ落とし、数少ない本質的なことに力を集中させるという考え方です。
一度日々の生活や仕事を振り返ってみましょう。あれもこれもと手を出してやるべきことを抱えすぎていないでしょうか。
「二兎追うものは一兎も得ず」
という言葉があるように、全てを追い求めると全てが中途半端になってしまうのです。
エッセンシャル思考は「大事なことを選ぶ」ことから始まります。
全ての労力が等しい成果を産む訳ではないという「80対20の法則」と同じことが言えますね。
2.厳しい基準で判断する。
物事を判断するとき、人は
「重要か重要でないか」
という判断基準で行動を決めると思います。
重要だと思う仕事や習慣には全て手を出そうとするのが一般的な人の心理です。
しかしエッセンシャル思考では、単に「重要だ」と思えることに容易く手を出しません。
何故なら日々の生活や仕事の中でそこそこ重要だと思えることは溢れかえっており、全てに手を出そうとするとどれもが中途半端な結果に陥ってしまうからです。
エッセンシャル思考ではあらゆる方向に少しずつ前進するのではなく、「これしかない」と決めた本質的なことに集中投下して大前進します。
つまり、
「重要か本当に重要か」
という基準で物事を判断するのです。
このことに関しては
「絶対にイエスだと言えないならそれはすなわちノーである」
という言葉で述べられています。
確かにこれまでの生活を振り返り、「これをしたら成長できる」「役にたつかも・・」といった気持ちで色々な実践を取り入れてきましたが、一度にたくさんのことをしようとすると全てが中途半端になり、結局どれも続かないという結果になっていました。
「これをした方がいいかも」は「しなくていい」なのです。
あれもこれもと手を出すのではなく、
「これをしたら絶対に大きな成果が出る」
と確信できる数少ないことに集中して力を注ぐことで、初めてそれが習慣となり大きな成果に繋がると思います。
3.サンクコストバイアスを知る
サンクコストバイアスとは、
「すでにお金や時間を使ってしまったという理由だけでそんな取引きに手を出し続ける心理傾向」
のことです。
エッセンシャル思考では、損と分かっているのにもったいない精神だけで活動を続けることをやめます。
代わりに、
「これをやめたら何に時間を使える?」
と考えるのです。
これは日々の生活でよくあることだと思います。
例えば、買ったもののたいして面白くない本に対して、
「せっかく買ったんだから最後まで読まないだと・・」
という惰性心で最後まで読み続けてしまうことがよくあります。
そんな気持ちで読み続けても損な時間が余計に増えるだけだということを認識し、無駄な時間は切り捨てることが大切ですね。
4.仕組み化する
非エッセンシャル思考では努力と根性で物事をやり遂げようとします。
エッセンシャル思考では自動的に上手くいく仕組みを作ります。
一旦すべきことを決めたら、あとは無意識に実行できるようにしておくのです。
これはつまり、あらゆることを習慣化することだと思います。
例えば、
クローゼットを綺麗に保とう
と決めた場合、非エッセンシャル思考では汚くなったらその都度掃除をしようとします。
エッセンシャル思考では、
・片付ける曜日と時間を決める
・物を思い切って減らす
・何でもボックスを設置する
といったことを取り入れて、意識しなくても自動的に綺麗な状態が保てるよう仕組みを作ります。
その都度意識して力を注ぐのではなく、仕組み化・習慣化する努力をすることで、その後訪れるはずであった意志力を働かせる場面を大幅に削減することができます。
5.ボトルネックを取り除く
何か悩みや上手くいかないことがあるとき、手当たり次第に問題を解決しようとすると、多大な労力や時間がかかってしまいます。
エッセンシャル思考では、問題の全体像を俯瞰し、一つ対処すれば他の全てが好転するような本質的な問題を見抜きます。
問題の根本的な原因となっているボトルネックを探し出し、それを取り除く努力をするのです。
5.「今」なにが重要かを考える
非エッセンシャル思考の人は、過去の後悔や未来への不安に捉われます。
エッセンシャル思考ではそのような時間は全て無駄と考え、常に「今」重要だと思うことに力を注ぎ続けます。
人間には「今この瞬間」にしか力を注ぐことができないと自覚しているのです。
「今何が重要か?」という問いを常に自分に投げかけることは、本質的な時間を過ごすためにとても大切だと思います。
以上が本書の学びです。
エッセンシャル思考の考えは素晴らしいと思いますが、正直生活に取り入れることは容易ではないと思います。
本質的なことを取捨選択するのはとても難しいからです。
少数のことに力を注ぐことが大事だと分かっていても、「そこそこ重要」と思えることを切り捨てるのは非常に勇気がいります。
なので、大切なのはいきなり一つや二つに絞るのではなく、
・大多数の努力は無駄であること
・数少ない本質的な努力が大きな成果を産むこと
を自覚した上で、
「正しいことに力を注いでいるか?」
という問いにイエスと答えられる行動を取り続けることだと思います。
「自分で選ぶ」ことを意識し、本質的なモノに囲まれたスマートな人生を送っていきたいですね。