本要約「思考のスイッチを入れる授業の基礎・基本」-鈴木健二ー
概要
「基本的に子どもは授業に対して受動的である。」
と考えたうえで、学びに対して受動的な子どもを能動的にするための手法について書かれてあります。
それを本書では、「思考のスイッチを入れる」と表現しています。
能動的な学び=アクティブラーニング
です。
つまり、「アクティブラーニングを実現するために、子どもの思考のスイッチを入れる授業をしよう」
ということが本書のテーマになります。
思考のスイッチを入れるには
思考のスイッチを入れるには、ポイントが2つあります。
1つは、子どもの思考を刺激する発問・教材の提示です。
思考を刺激するとは、
発問や教材の提示によって、子どもの頭に
「え?」「どういうこと?」「なに?」「ドキッ」
と思わせることです。
そしてもう一つは、それを授業開始5分以内に行うことです。
ダラダラした説明や前回の確認から入る授業では、子どもの思考はオフになってしまいます。
5分以内に、子どもの思考を刺激し、頭を考えるモードに切り替えさせることで、
授業に対する主体性を持たせることができます。
思考を刺激する授業を作る~教材研究~
教材研究において大切なことは、私は本書からは2点学びました。
一つ目は、「ねらいを一つに絞る」ということです。
これは分かりやすい授業を作るうえでも大切ですが、
思考を刺激する授業を作るうえでも大切です。
「この授業ではこれを理解すればいい。」「こういう考えを持てればいい。」
と、ねらいを焦点化することで、良い発問や効果的な教材の提示の仕方が思い浮かんでくるからです。
2つ目は、「発問をたくさん考えてみる」ということです。
子どもが主体的に参加する知的な面白い授業になるかどうかは、良い発問ができるかどうかにかかっています。
良い発問とは、子どもの思考を刺激する発問のことです。
一つの教材や、教科書のページからなるべくたくさんの発問を考えるうちに、
良い発問が思い浮かんでくるものです。
思考を刺激する授業を作る~発問・教材の作り方~
ここからは、子どもの思考を刺激する良い発問・教材を作るための
具体的なフレームワークについて紹介します。
①教科書を活用する。
教科書には良い発問を生むヒントがたくさん隠されています。
例えば、
教科書の見出しだけを提示して、意味を問う。
教科書の図だけを提示して分かることを問う。
教科書の一文を提示して、本当に合っているかどうか問う。
といったように、教科書を活用すると面白い発問をたくさん考えることができます。
②一部を隠す
人は隠されている部分について考えたくなる生き物です。
一部を虫食いにした文章を提示するだけでも、子どもは気になって考えたくなります。
また写真を拡大して提示して、「これは何だと思う?」と問うのも面白そうです。
③ドキッとするような写真・資料を提示する。
何も言わずに写真や資料を見せるだけで、子どもは「なんだ?」と考え始めます。
さらに、思わずドキッとしてしまうようなものを活用すれば、より子どもの思考は活性化するはずです。
例えば、3年生の社会科の「消防の仕事」では、
何も言わずに
「4333」
と提示します。そして、
「何の数でしょう?」
と発問します。
これは市内の1年間で起こった火事の件数なのですが、
このように大きな数字だけを提示して、「ん?」と子どもに思わせることで、
子どもの脳は考えるモードに切り替わると思います。
これらが、子どもの思考を刺激するための具体的なフレームワークです。
とにかく大切なことは、
子どもが思わず考えたくなるように授業を工夫すること
だと思います。
まとめ
1.基本的に学びに対して受動的な子どもを、能動的に変える必要がある。
2.そのためには子どもが思わず考えたくなるような、思考を刺激する発問・教材の提示が大切。
3.思考を刺激する発問を作るためには、
「ねらいを絞る」「なるべくたくさん発問を考える」
といった意識で教材研究をする。
そして、良い発問を考えるためのフレームワークとして、
①教科書から発問を考える。
②一部を隠す
③ドキッとする写真・資料を提示して発問する。
といったことが活用できる。
以上が本書から学んだことになります。
以前から、子どもが思わず考えたくなるような発問の大切さは自覚していましたが、それを考えるための具体的なフレームワークが知れたという点で、本書はとてもいい本だったと思います。
正直ほかにも細かい学びはたくさんありそうなので、また読み返して学びをここにまとめていきたいと思います。