読書アウトプット記録

本から学んだ内容をアウトプットすることで自分自身の記憶に深く落とし込むことを目的としています。

「人を動かす」デール・カーネギー

今回は言わずと知れた世界的ベストセラー、デールカーネギーの「人を動かす」です。

あらゆる人間関係において、他者と良好な関係を築き、人の心を動かしていく為の方法について書かれてあります。

人は社会を生きていく上で、他者との関わりを避けて通ることはできません。あの自己啓発の源流と言われるアドラー心理学でも「全ての悩みは対人関係の悩みである」と言われています。

この本に書かれてある対人交流における原則は、どんな場面でも少し意識するだけですぐに実践できるような内容です。

「人間関係の黄金律」として常に意識し人と関わっていくようにすることで、家庭や職場での人間関係がより豊かなものになり、よりよい人生に繋がっていくと思います。

それでは以下、内容を簡単に要約して紹介します。

 

○人を動かす原則

 

1.盗人にも五分の理を認める

どんな凶悪な犯罪者であっても、実は自分が根っからの極悪人であると自覚している犯罪者は少ないそうです。

つまりどんな悪行にも、それなりの背景があり、その人なりの正しい正義感に基づいた行動であるということです。それを第三者が非難したからといって中々変わるものではありません。

犯罪者でもそうであるのだから、身近にいる「少し嫌な人」「苦手な人」であれば尚更ですね。

まずはどんな人であれ、「非難する代わりに理解する」こと。そこから次の行動に目を向けていくようにするということが、人を動かす第1の原則になります。

 

2.重要感を持たせる

「人間の持つ最も強い欲求は重要人物たらんとする欲求である」

人の心理を非常に的確かつ分かりやすく捉えた考え方です。

自分の身に置き換えて考えてみても、やはり「自分が周りにとって重要な人物でありたい」という欲求に基づいて行動しているのではないかなと思います。

つまり、人を動かすにはその人に重要感を与えることが大切です。どんな人であれ他人からの評価を強く望んでいます。

「褒め、激励し重要感を与えること」「あなたは大切な存在ですよというメッセージを与えること」

これが人を動かす2つ目の原則になります。

 

3.人の立場に身を置く

相手の行動の変容を図りたい場合、相手に「そうしたい」という欲求を起こさせることがなにより大切になります。

例えば、相手にAという行動をさせたい場合、そのまま「Aをしろ」といってもそれが相手にとって利益のないことであれば中々人は動いてくれません。

そこで相手に「Aをさせたい」と思えば、「どうすれば相手はAをしたいと思うだろう」と考えてみるのです。

例えば、隠れてタバコを吸っている息子にタバコをやめさせたい場合、

「未成年はタバコを吸ってはいけないと法律で決まっている。タバコはやめろ」

と伝えるより、

「タバコは筋肉の発達や運動神経に悪影響を及ぼす。タバコをやめたら野球部でレギュラーになれる確率が上がるよ」

と伝える方が、やめてくれる確率はグンと上がります。

一度相手の立場に身を置き、相手の利益になるようにAという行動を結び付けて伝えるようにすること。これが人を動かす原則の3つ目です。

 

 

○人に好かれる原則

 

1.誠実な関心を寄せる

対人関係の悩みが人間の全ての悩みの根底であると考えるアドラーは、「人に関心を持たない人は苦難の人生を歩む」という言葉を残しています。

自分が人に興味を持ってもらいたければまずは自分が人に興味を持つこと。自然と人から好かれる人は無意識の内にこれができているのかなと思います。

誰でも「この人は自分に興味を持ってくれてるな」と感じる人のことは嫌いにならないのではないでしょうか。

 

2.笑顔を忘れない

やはり笑顔は人間関係において最強の武器です。笑顔は第一印象から人に安心感を与え、信頼関係を高めます。

 

3.名前を覚える

名前はその人にとって最も大切な響きを持つ言葉です。

久しぶりに再開した人や少し話しただけの人が、自分の名前を覚えてくれていたら、それだけでその人への好感度が高まると思います。

とにかく早く名前を覚えて呼びまくることで、信頼関係が築いていけると思います。

 

4.聞き手に回る

自分のことばかり話す人は当然好かれません。

人と良い関係を築きたいと思えば、会話の中で聞き手に回ることが大切です。

その際相手の好きなことや興味のあることを話題にして、相手に楽しんで話してもらうことで、「またこの人と会いたい」と思ってもらえるようになるのではないでしょうか。

 

 

○人を説得する原則

 

1.誤りを指摘しない

人は自分から間違いに気付き、自分の考え方や行動を変えることはよくありますが、いざ間違いを他人から指摘されると、意地を張り、何かと理屈を付けて反抗しようとするものです。

つまり、第三者が相手の考えを変えさせることはまず無理であり、相手が自ら変える手助けをすることしか出来ないと考えた方がいいと思います。

例え本当にそれが間違っていることであったとしても、他者から指摘させると自分が非難されている思い嫌な気持ちになります。論破しようものなら尚更です。良い関係を築いていく上では、後には何も残りません。

もし誤りを指摘する必要がある場合にも、「多分間違っていると思うのですが、自分はこう思います。」と謙虚かつ穏やかに自分の考えを伝えるようにすることで、相手も快く自分の考えを見つめなおしてくれるようになるのではないでしょうか。

 

3.「イエス」と答えさせる

これは心理学の手法だと思いますが、相手を説得しようとする場合、何度も「イエス」と答えさせる質問をすることで、説得できる確率が上がるそうです。

まずは「はい」「うん」「そうですね」と答えざるを得ないような質問をいくつかした後、本題に触れることで、円滑に説得できるようになります。

 

4.同情を寄せる

「あなたの考えはごもっともです。もし私があなたの立場なら同じように考え行動するでしょう。」

これは相手に大人しく言うことを聞かせる魔法の言葉であると述べられています。

どんな人であれ相手からこのように話を切り出されると、心を開き、話を素直に聞いてみようと思うのではないでしょうか。

まずは相手に同情し共感することが大切です。

 

5.美しい心情に呼びかける

人は誰しも心の中に美しい心情を持っています。

その美しい心に期待感が込められた説得をされると、素直に聞いてしまうのが人情です。

例えば、誰しもが持つ母親への尊敬や愛情、子どもを大切に思う心がそれにあたります。

また、期待感を込められるとそれに応えて動きたくなるというのも人の心理です。

誰しも、「自分が美しく真っ当な心を持った人である」と他者から評価され期待されるとそれに背くような不正な行動はでになくなるのではないでしょうか。

相手の持つ美しい心情に呼びかけること、そしてどんな相手でも期待感を込めた評価を与え続けること、が大切になります。

 

 

以上、「人を動かす」の簡単な内容の紹介にならます。

当たり前といえば当たり前のような基本的な内容が多いですが、改めて問われると中々実践できていないなと思えることが多いのではないでしょうか。

ずいぶん昔の本ですが、この先も受け継がれていくような、まさに「人間関係の原則」であると思います。

相手と良い関係を築きたければまず名前を覚え、常に笑顔で、相手のことについて質問を重ね、よく褒め、自分から相手に関心を持っていることを伝える。そしていかなる場合でも非難や批判はせず代わりに理解しようと努める。

本書の内容を積極的に実践し人の心を掴み動かすことができる、そんな魅力的な人間になっていきたいです。