「必ずクラスを立て直す教師の回復術」-野中信行-
またまた学級経営本です。
本書のテーマは
学級崩壊を起こさないようにする
ということです。
その為に、
教師が教室の「時間」と「空気」を統率する
という観点から学級経営の方法について書かれてあります。
また、学級経営だけではなく授業や教師の仕事術についても触れられており、かなり多くの学びを得ることができました。
それでは内容を紹介していきます。
1.教室の「空気」を支配するには
教師は学級のリーダーでなければいけません。
教室の主役は子ども達です。
ですが学級という一つの社会の中で子ども達が伸び伸びと成長していくためには、教師がリーダーシップを発揮し、望ましい集団へと引っ張って行かなければなりません。
その為にはまず教室の「空気」を教師が支配することが不可欠です。
教室の空気は、学級開きの段階では教師の手にあると思います。
ですが、少し気をぬくと簡単にやんちゃ君達に教室の空気を支配されてしまいます。
そうした事態を避ける為には、
・子ども達と友達になろうとしないこと
・4月の内から指示に従うことを徹底すること
が大切です。
1点目に関しては、子どもと仲良くなりたいからといって、子どもと友達感覚で接してしまうことがよくあると思います。
子どもと仲良くなることは良いことです。
ですが教師が教室のリーダーである為には、友達ではなくリーダーとして接することが不可欠です。
悪いことはしっかりと叱る
休み時間と授業の切り替えをしっかりする
といった、子どもとの一定の線引きが大切になると思います。
次に2点目の
指示に従うことの徹底
は、他の教育書でもよく書かれてあります。
「この先生は厳しいぞ、見逃してくれないぞ」
というイメージを持たせることが、空気の統率に繋がります。
指示を出したら全員が従うまで注意を続ける。
そして、指示に従ったらしっかりと褒める。
4月にこれを粘り強く繰り返し、
先生の言ったことには従う
という空気を作ることが重要です。
2.「時間」を支配する方法
「時間を支配する」とは、「時間を守らせる」ことです。
授業がチャイムと同時に始まり、給食準備や朝の会・帰りの会がスムーズに進んでいるクラスでは学級経営は起こらないと思います。
時間を守らせる上で大切なことは、
教師が1番に時間を守る
ということです。
1番ありがちなのが、
時間内に授業が終わらず、休み時間に食い込む
という場面です。
どんなに切りが悪くても、チャイムが鳴ったら授業を終えるようにすることで、
時間を大切にする
というスタンスを子どもに示すことができます。
何よりいつも授業終了の時間を守っていない教師が、「チャイムが鳴ったら教室に戻りなさい!」と厳しく指導しても説得力がないですよね。
また、同時に授業の開始の時間も厳守しましょう。
教師が開始時間に教室にいるのは当たり前ですが、チャイムが鳴ると同時に授業を始めてしまうのです。
そうすることで授業開始に遅れている子どもが損をするという状況が作れるからです。
具体的には、
「全員起立!掛け算の7の段を言えた人から座ります」
といった活動や、
いきなり復習プリントを配って開始するといっ
た全員参加型の活動が有効です。
3.中間の6割の子に注目する
クラスには
やんちゃ層2割
中間層6割
真面目層2割
といった一定の割合で子どもが集まっているといいます。
教師が「空気」「時間」を支配する上で鍵を握っているのは、実はやんちゃ君よりも6割の中間層の子だそうです。
クラスが荒れるか安定するかは、中間層の子たちが、「やんちゃ側」につくか「真面目側」につくかにかかっているからです。
教師がやんちゃ君達の指導にばかり集中し、6割の子を放ったらかしにしてしまったとします。
すると
「先生の言うことをちゃんと聞いても注てくれないじゃん。俺たちも遊んじゃえ」
と、子供の心が教師から離れ荒れに繋がってしまいます。
2割のやんちゃ行動よりも、6割の中間層と2割の当たり前の行動に目を向け、しっかり認めてあげようということです。
「早く準備できているね。えらいね。」
「元気よく挨拶できているね」
「黙って話を聞けてえらいね」
と、ちゃんとできている子に注目し、とにかく褒めることが大切です。
褒めることでその行動は定着するからです。
6割の中間層の子がクラスの鍵を握っている
ということをしっかり認識し、子どもと関わっていこうと思います。
以上が学級経営に関する主な学びです。
「空気」と「時間」を統率し、当たり前の行動を褒めて6割の子を味方に付ける
ことを意識し、安定した学級経営を目指していきたいと思います。