「子ども集団を動かす魔法のワザ」杉渕 鐵良
今回も教育書の「子ども集団を動かす魔法のワザ」です。
学級という子ども集団を動かし、安定した学級経営をしていく為のノウハウについて具体的に書かれてあります。
他の学級経営本にはあまりない、作者の杉渕先生なりの視点で学級経営について書かれてあったので新鮮な内容も多くとても面白かったです。
1.とにかくスピード重視!
杉渕先生は学級経営においてとにかくスピードを重視します。そうすることで自然とクラスの雰囲気が引き締まり、まとまった学級集団へと成長していくからです。また、あらゆる活動をスピーディに行うことで、余った時間を他の有意義な活動時間に回すこともできます。
確かに、荒れている学級は掃除や給食準備、授業開始までの時間など、全ての活動に取り掛かるまでの時間がとてつもなく遅いという印象があります。「荒れている=教師の指導が通っていない」ということなので、当然といえば当然です。
逆に考えると、4月の段階からあらゆる活動のスピードを重視し、その気持ち良さを子どもに実感させておくことで、荒れを予防することができます。
ポイントは「早くすることの気持ち良さを実感させる」ということです。「教師に言われたから早くする」のではなく、「自分達が気持ちいいから早くする」という状態に持っていくことで、自然と子どもは動くようになります。
○授業では
荒れているクラスではチャイムが鳴ってから授業が始まるまでの時間がとてつもなく長いです。そこでチャイムが鳴ったらすぐに授業を初めて作業に取り掛かるという意識を定着させておく必要があります。まず、チャイムが鳴ってから教科書を出すまでの作業を一瞬で行わせます。チャイムが鳴るとすぐに挨拶をし、教科書を開いて授業を始めます。またはすぐに教師が黒板に板書を書き始めるといったことでもいいと思います。
また練習プリントや課題など、短い時間でスピードを、競わせる場面をたくさん取り入れます。そうすることで早くするという意識が高まります。
教師が子どもよりも早く準備をして待っていること、素早く動くことも大切であると思います。教室に遅れて入ってくるなどもってのほかです。
無駄な空白の時間を少なくし、とにかくスピーディに活動に移るという姿勢を示すだけでも子どもの意識は変わると思います。
○生活面では
生活面で大事になってくるのは、着替え、給食準備、帰りの仕度などの時間になります。ここではタイマーを活用し、時間を測ってゲーム感覚で取り組ませます。
一気に全ての活動で時間を測って行うと子どもも疲れると思うので、まずは一つずつ子どもに目標時間を決めさせて取り組ませるといいと思います。一つの活動が早くできるようになると次の活動も時間を決めて行なっていきます。
またメリットを伝えることも子どものやる気につながります。(早く帰りの準備をすると早く帰って遊べる、早く給食が食べれるなど)
2.何をするにも子どもの心をつかんでいることが大事
当然といえば当然のことかもしれませんが、人は嫌いな人の言うことは聞きません。
どんな指導をするにしても、大前提として子どもの心をつかんでいることが大切になります。
以下その為に杉渕先生が工夫していることとして書かれていたことを紹介します。
○叱り方
学級集団を統率するためには日々のきめ細かな指導が大切です。教師の定めた明確な基準のもと、些細な行動や言動に対しても繰り返し指導していきます。そのような細かな指導では、ユーモアを交え、明るく指摘していくことで関係性を保っていくことができます。
しかし、叱るべきときには厳しく一喝し、メリハリをつけておくことも大切です。
○子どもとの接し方
子どもの心を掴むには、全ての子どもに「自分は先生にとって特別な存在だ」と思わせることが大切です。
その為に、子ども一人一人の目をよく見て話し、またどんなに小さなことでもとにかく褒めるようにします。
どうしても褒めることが見つからない子どもには、「プリントに名前が書けている」「皆んなと同じように活動に取り組んでいる」など当たり前のことに目を向けて褒めるだけでも子どもは喜びます。
また、これらの他にも子どもが楽しいと感じるアイスブレイク的な活動を多く取り入れること、休み時間にたくさん遊ぶこと、なども大切になると思います。
以上が私が得た具体的な学びになります。
教師なったときにはとにかくスピードを重視すること、そして子どもの心を掴むことを大切にし、学級経営を行なっていきたいです。